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【SS】ゆりと天使、お風呂場で遭遇ス【Angel Beats!】

【SS】ゆりと天使、お風呂場で遭遇ス【Angel Beats!

#シチュ:ゆりと天使がお風呂場で遭遇しちゃったようです。

 

「――ハァァ……大浴場の独り占めは最高よね~」

夜遅く、最終時間間際の大浴場。

週の中日であることを考えると一般生徒はこの時間はまず来ないだろう。

そんな予測が的中し、あたしはこの広い大浴場を独り占めしていた。

「平日の授業時間のお風呂も最高なんだけどね~」

広い湯船でくつろぎながら独り言を漏らす。

今日に限っては所要があってこの時間になってしまったのだ。

「――ハァァ……生き返るわぁ~」

……なんてお風呂の定型句も死後の世界だとジョークよね。

くだらないことを考えながらお風呂の心地よさを堪能していた。

そんなときだった。

 

――ガラガラ……

大浴場のドアが開けられる音がした。

 

(せっかくのお風呂独り占めだったのに誰よ…)

恨みがましく目をそちらに向けると……。

陶器のような白肌にバスタオルを巻いた小柄な女の子が静かに入ってきた。

(ゲ!? 天使!?)

なんでこんなときにっ!

普段はホルスターをつけている場所に手が伸びるが、湯を切っただけだ。

文字通り丸裸のあたしはそんなものを身につけてはいない。

瞬時に頭がフル回転するが。

(…………今までも天使から攻撃してくることはなかったし、やり過ごせば大丈夫ね…)

警戒しつつも天使を見る。

体にバスタオルを巻いた上に、手にはタオルまで持っている。

おすまし顔でご苦労なことね。

けど大浴場だっていうのにバスタオルで体を隠すなんて邪道と思うのはあたしだけ?

もしかして背中に羽が生えてるとか?

それとも天使ってくらいだし、人前で肌を見せてはいけないとか戒律でもあるのかしら?

あたしの目線に気づいたのか、天使がこちらを向いたときだった。

その踏み出した足が……。

 

――ツルッ!

「……!?」

あ、すべった。

 

天使はまるでオーバーヘッドキックをするような見事なフォームで中を舞い……

 

――ズベンっっ!

 

コケた。

盛大にコケた。

海外のコメディー映画も真っ青な見事なコケっぷりだ。

もちろん体を覆っていたバスタオルなんてはだけてしまって……その……色々とフルオープンだ。

(……天使も……普通なのね……)

あたし一人で良かったわ、と人事ながら安堵した。

こんなポーズを見られたら、あたしなら死にたい。

 

「…………っ」

天使が痛々しく起き上がった。

「…………」

ガン見していたあたしと目が合った。

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「………!!!!!!」

プシューーーという擬音が聞こえるほどの勢いで天使の肌がピンク色に染まった。

肌が白い分だけ目立ちやすい。

いつもよりも素早い動作でバスタオルをワシッと掴むと体に巻きつける天使。

けどその体が完全に上気しているのが見て取れる。

 

ふぅん、天使も恥ずかしがるのね……。

 

天使はそのまま鏡の前へ向かい、髪を洗い始めた。

平静を装ってはいるけど手つきを見ていると、

(……ありゃ内心随分とパニクってるわね……)

同じところを何度も洗ったり、動きが止まったかと思うと肩をプルプルと震わせたりしている。

見てしまったこっちがむしろ悪いことをしたようにすら思ってしまう。

挙動不審で洗ったんだか洗ってないんだか解らない状態で髪を洗い終わった時だった。

「……?」

――キョロキョロ。

何かを探す天使。

「……? ……??」

せわしなくキョロキョロとしている。

 

はぁ……。世話が焼けるわね……。

 

「――はい、コレ」

居ても立ってもいられず、床に落ちていたタオルを洗い絞って天使に渡した。

「あなたが今探しているの、これでしょ」

あたしを見てキョトンとしていた天使だったが、

「…………ありがとう」

恥ずかしげに受け取ると、洗った髪をタオルでまとめようとする。

が。

「……っ? ……。……っ」

まださっきのことを気にしているのか上手くまとめられない。

「ああもう、あたしに貸しなさいっ」

自分の世話焼き気質に内心ため息を付きながらも、タオルターバンを作る。

「はい、できた。――あなたね」

「……?」

「コケたとか裸を見られただけでそんな恥ずかしがってどうするのよ」

そんな言葉がついて出た。

天使の様子に腹がたったのもあるし……話しかけたほうが多少は恥ずかしさも和らぐと思ったのだ。

「あたしを見なさい。この通り――」

ペチペチと自前の胸を叩く。

「素っ裸よ」

天使の前で裸で仁王立ちだ。

「お風呂はね、裸なんて見られて当然のところなの。わかる? 身も心も休める場所なのに、恥ずかしがってたり気を張ってたら逆に疲れちゃうじゃない」

「…………」

あたしを見て目をパチクリさせていた天使。

その目をあたしの上から下まで見渡すと、負けを受け入れたように嘆息した。

「……そうね」

そうつぶやくと、体を覆っていたバスタオルを一瞬戸惑いつつも……外した。

透き通るような白の蕾が現れた。

「……」

目を伏せた天使だったが、あたしに目を向けた。

おかしくない?と言わんばかりの不安げな様子だ。

正直、女のあたしでもドキリとするくらいキレイ…………。

って何を考えているんだあたしはっ!

「そ、それでいいわ。今回は特別にあたしが背中を洗ってあげるわ」

自分の内心に戸惑ってしまったせいか、そんな提案をつい出してしまった。

 

***

 

天使の小柄な背中。

その背中には天使の羽なんて無かった。

ごくごく普通の女の子の背中だった。

コシコシしながらオシリに目を向けた時だ。

(……青あざができてるじゃない……)

さっきころんだ時にオシリ、尾てい骨の部分を打ったようだ。青あざになっている。

「ねぇ」

「……なに?」

「ここなんだけど」

 

――ツンっ

 

「…っ!」

青あざを指でつくと、それに合わせ天使がピクンっと反応した。

「青あざになっちゃってるわ」

「……そう…ぁっ!」

話している最中に意地悪でもう一度押すと、天使があたしの指の動きに合わせピクンと反応する。

これ、イケナイ気持ちになってくるわね……。

「あとでシップとか貼っておきなさいね」

「……わかったから、そんなに押さないで」

拗ねたような口調だ。

へぇ。

今まで話しをしなかったけど、けっこう人間らしい所があるじゃない。

 

***

 

湯船に天使と二人で浸かる。

距離は近い。

敵同士なのに変な感じだ。

「…………」

……天使がまた何かやっている。

背中に手を回したいようだが……

「ん……っ。 ……?」

どうやら手が届かないようだ。

「何してんの?」

「………………背中が」

「うん?」

「……背中がかゆいの」

「はぁ?」

 

「……」←手を後ろに回してる

「…っ…」←頑張ってる

「……?」←悩んでる

「っ!っ!」←勢いをつけたけど届かない

 

……。

不器用というか天然というか、世話焼き気質を刺激する奴だった。

「はぁぁ……どの辺よ?」

「……この、先、辺り」

天使が頑張って回している手の先。そこに指を走らせる。

「この辺でいいかしら?」

「……ん……いいわ……」

手を止めた後、天使があたしの後ろに回りこんできた。

「?」

 

――サワサワ。かきかき。

 

「ひゃぅっ!?」

背中に走る感触に声をあげてしまった。

「……お返し」

「お返しいらないから!」

「……お礼参り?」

「それ意味変わってるから!!」

あたしをツッコミに回させるなんてどんだけボケボケなのよこの子は!

「ああもう、お礼したいわけね! 肩。肩を揉んでほしいわ」

コクリ。

 

天使の手があたしの肩をリズミカルに揉んでいく。

――もにもに……もにもに……もにもに……。

がんばっているのはわかる。

――もにもに……もにもに……。

わかる。

けど……。

 

「……どう? 気持ちいい?」

「弱いわ! す~~~んごく、弱いわ!」

揉んでるんだか触ってるんだか分からない程度の触れ方だった。

「……もっと強くがいいの?」

「ええ。これじゃちっとも満足できない」

「……そう。なら――」

ホワン、と天使が光った。

『パッシブスキル、オーバードライブ』

天使の手があたしの肩を掴んだ。

ホワンホワンホワンとオーラっぽいものが出ている。

……とてつもなく嫌な予感がするのは気のせいだろうか?

「……これくらい?」

 

――メキメキメキャメキョッ

 

「ひんぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!!」

素っ裸でのたうち回るあたし!!

肩っ、肩っ、肩が潰れるかと思ったっっっ!!

「……気持ちいい?」

「よ、よくこの様子を見て「気持ちいい?」なんて聞けるわね!?」

「……?」

なんで首を傾げるかわからないっ!!

「いったいあなた何したのよ!?」

「……簡単に説明すると……」

あれこれ考えるようにしたあと、

「……3倍界王拳?」

「ワケがわからないわ!?」

きっとこれ、肩叩きだったら死んでた自信がある。

 

――さすりさすりさすり

 

「……ごめんなさい」

悪いと思ったのか、あたしの肩を優しく撫でる天使。

「……どう?」

「多少はマシになったわ……」

…………。

……。

天使はあたしたちの敵。

そういう認識でずっと過ごしてきた。

けど、今心配そうにあたしを撫でている天使を見ると心が揺らいできてしまう。

天使という偶像的な存在というよりも、人間くさくて、面倒を見てあげないといけないように思えて……。

「――ねぇ、あなたって……」

 

――こてん。

 

話しかけようとした時、背中に温かな――天使の体が押し付けられた。

あたしの背中に小さな膨らみの感触、鼓動を感じる。

背中に感じる温かみは、大昔に自分がお姉ちゃんをやっていたときのことを思い出させる。

「……あなた、本当に天からの使いなの……?」

と、天使の方に向き直ると。

 

「~~~~~~~~~~~~ぁぅ」

目を回していた。

 

って!!

「のぼせてるじゃないっ!? ああもう、世話が焼けるわねっっ!!」

天然の天使に人間くささを感じつつも、その伸びた体を担いで大浴場から脱出するのであった……。

 

 

で、今回のオチ。

翌日の話だ。

「よーゆりっぺ。こんな時間に学校で会うなんてな。今日は早いじゃんかよ」

「ふあぁ…珍しいな」

「あら日向くんに音無くん、そっちこそ早いじゃない」

「いつもの朝練だよ。ゆりっぺはどうしたんだ?」

「色々あって眠れなかったのよ」

そのとき、クイクイと袖をひかれた。

振り向くと……。

「……」

天使が立っていた。

「ゲ、天使!?」

日向くんと音無くんが即時に臨戦態勢をとる。

そんなことを意に介さない天使はあたしを見つめていた。

「……昨日はありがとう」

うっすらと頬が朱に染まっている。

昨日のおかげか、天使の表情を読み取ることができるようになってきていた。

「……起きたらあなたの部屋で驚いたわ」

……のぼせて倒れた後、結局あたしの部屋で介抱したのだ。

「調子はどうかしら?」

「……オシリのあなたが指でつついた場所、まだ少し痛むわ……。あなたこそ私が揉んだところは大丈夫?」

「強く揉みすぎよ。まだ調子がおかしいわ」

「……そう。今度は気持ちいい揉み方を研究してくるから」

「そう願うわね」

「……授業があるから行くわ。あなたもたまには出席して」

「考えておくわ」

それだけ言い残すと天使は教室の方へ去っていた。

残されたのは……

 

「ゆ、ゆ、ゆ、ゆりっぺ…………っ!?」

「そこまでいっていたのか……っ!?」

なぜか驚愕の表情の日向くんと音無くんだった。

「なによ? そんな化物を見るような目で」

「ゆりっぺ、き、昨日寝れなかったって……」

「色々あって天使が部屋にいたのよ。聞いてたでしょ」

「聞いていた、確かに聞いていた……ゆり、おまえ、おまえ……ヒーッス……ヒーッス……」

音無くんの呼吸が何故か早く、まるで禁断の言葉を発するかのように興奮状態に合った。

「天使の……天使の……」

ギラリ、とその目が光った!!

 

「天使のオシリで遊んだのかぁぁぁぁーーーっ!!」

 

…………。

……。

 

「はぁあぁあぁあぁぁぁぁ~~~~っ!?」

「天使が物憂げな表情で「オシリのあなたが指でつついたの、すごいよかったわ」って言ったことを俺は聞いたぞッ! さっき! 確かにッ!!」

「なッ!? ちがっ……! はぁぁぁぁ!?」

「いきなり尻はハードル高すぎだろぉぉぉ! 百合に求めてんのはそこじゃねぇぇぇっ!」

意味不明なところで悶絶を始めた音無くん!!

「落ち着け音無……俺もさっき確かに聞いた」

ゆらりと日向くんが立ちはだかるっ!

「天使が「私が揉んだのどう?」って聞いた時「強く揉みすぎよ♪」とダメ出ししてたろ!!」

「そっ、それはっ!!」

「するとどうだ!! 天使も「気持ちいい揉み方研究してくる♪」だと! 乳繰り合うってレベルじゃねぇぞっ!! 羨ましいなオイっ!!」

「だからっ、昨日お風呂で天使がのぼせて……っ」

廊下で「百合にはそういうのを求めてねぇぇ!!」「羨ましすぎるぞクソォォ!!」とエビ反りする二人!!

「天使がのぼせたのを介抱しただけで……」

「百合はもっと崇高じゃないとダメだろぉぉぉーーーっ!!」

「羨ましいなオイッッッーーーー!!」

 

「テメェら聞けこのヤロォォォォォーーーーッ!!」

 

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